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最高裁判所大法廷 昭和24年(れ)1019号 判決

主文

本件上告を棄却する。

理由

辯護人西村兼吉の上告趣意は末尾に添えた別紙記載のとおりである。

(三)上告論旨第三點は、被告人は目下逃走中の共犯者と二人で被害者を脅迫したと述べているのに、被害者千谷ヤヲは一人の賊に脅迫されたと述べている。この食いちがいにつきいずれが真実かを確定しない原判決は審理不盡であり、千谷ヤヲに對する司法警察官の聽取書を證據としたことも違法である、というのである。しかし、被告人一人で脅迫したとしても、また共犯者と二人で脅迫したとしても、本件における被告人の強盗共同正犯たる罪責に影響するものでなく、審理不盡の違法ありとは言えない。そして被害者が脅迫者を一人と認識したという供述を證據に採ったのは、被告人が脅迫者であるとの自白を補強するゆえんであって、證據の食いちがいと言い得ず、論旨は理由がない。(その他の判決理由は省略する。)

よって、舊刑訴第四四六條に從い主文のとおり判決する。

以上は裁判官全員の一致した意見である。

(裁判長裁判官 塚崎直義 裁判官 長谷川太一郎 裁判官 沢田竹治郎 裁判官 霜山精一 裁判官 井上 登 裁判官 栗山 茂 裁判官 真野 毅 裁判官 小谷勝重 裁判官 島 保 裁判官 齋藤悠輔 裁判官 藤田八郎 裁判官 岩松三郎 裁判官 河村又介 裁判官 穂積重遠)

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